審決取消訴訟判決(特許) 令和6年(行ケ)第10013号

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原文リンク

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要約

発明の名称

引抜加工用ダイス

発明の簡単な説明

潤滑剤の塊が形成されにくい構造を持つ引抜加工用ダイスで、ダイスのベアリング部の開口部の角を円弧でつなぐことで潤滑剤の挙動を改善する。

主文

特許請求の範囲の訂正を認め、特許無効審判請求を不成立とした審決に対する取消訴訟において、原告の請求が認められ、審決は取り消される。

経緯

被告は「多角形断面線材用ダイス」に関する特許を出願し、特許庁はその後、特許請求の範囲の訂正を認めた。原告は特許異議を申し立て、無効審判を請求したが、特許庁は無効審判の請求を認めず、原告はその取消しを求めて訴訟を提起した。知財高裁は明確性要件に関する判断の誤りを指摘し、1次審決を取り消した。特許庁は再審理を行い、訂正を認めた上で無効審判の請求を不成立とする審決を下した。原告はこの審決の取消しを求めて訴訟を提起した。

争点

訂正要件や記載要件(サポート要件、明確性要件)、進歩性に関する認定判断の誤りが争点となっている。

原告の主張

原告は、訂正事項が新たな技術的事項を導入していると主張し、特に「半径0.8mm」という数値が明細書に具体的に記載されていない点を指摘している。これにより、特許請求の範囲が明細書の技術的思想の範囲を超えていると主張し、訂正が適法でないと訴えた。

被告の主張

被告は、特許の訂正が潤滑剤の塊ができにくくなる効果を示唆しており、特許明細書の範囲内での訂正と認められるべきであると主張した。また、曲率半径が大きいほど潤滑剤の塊が溜まりにくくなることが明らかであるとし、特許の進歩性を主張した。

当裁判所の判断

裁判所は、訂正が特許法に適合しているかを検討し、訂正が新たな技術的事項を導入しない限り、特許請求の範囲内で行われるべきであると判断した。特に、ダイスの設計に関する記載が当初の技術的事項に基づいていることが確認され、特許の有効性が維持される可能性が示唆された。原告の主張に対して、訂正が新たな技術的事項を導入するものでないと結論づけた。

結論

原告の請求が認められ、特許庁の審決は取り消される。