審決取消訴訟判決(特許) 令和5年(行ケ)第10021号
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要約
発明の名称
鋼管杭式桟橋に関する発明
発明の簡単な説明
本発明は、鋼管杭の変形性能を向上させる方法に関するもので、特に地中部の発生曲率が大きい部分に高い変形性能を持つ鋼管杭を使用することで、全体の剛性を高めることなく変形を抑えることを目的としている。
主文
特許第5967862号に関する特許無効審判の結果に対する訴訟において、原告の請求が認められ、請求項1及び2に関する審決が取り消され、被告の主張は棄却された。
経緯
本件は、特許第5967862号に関する特許無効審判の結果に対する訴訟で、原告が特許の無効部分の取消しを求める第1事件と、被告が特許の審判請求が成り立たないとされた部分の取消しを求める第2事件から成る。特許庁は令和5年1月20日に、請求項1及び2を無効とし、請求項3については審判請求が成り立たないとの審決を下した。
争点
本件の争点は、特許の進歩性、サポート要件、明確性要件、実施可能要件に関する判断の誤りである。
原告の主張
原告は、実施の形態2や1の条件を用いて、実施の形態3の効果を得られると主張し、特に技術常識に基づいて発生曲率の条件が他の範囲に適用可能であることを示唆している。また、明細書に記載された条件を満たす実施例が存在するとし、発明の明確性と実施可能性を主張している。
被告の主張
被告は、実施の形態3の条件が他の形態の条件と異なるため、同様の効果は得られないと反論し、特に変形性能が異なる鋼管杭を組み合わせた場合、発生曲率に影響が出るため、各部分を独立に考えることはできないと指摘している。また、特定の条件下での地震応答解析に基づく設計が技術常識であると主張している。
当裁判所の判断
裁判所は、発明の進歩性についての判断を行い、特に技術常識に基づき、当業者が異なる実施の形態を組み合わせることで発明の課題を解決できると認識するかどうかが重要であるとした。原告の主張が支持され、特許の明確性と実施可能性が認められたため、審決の判断は正当であるとされた。
結論
本件発明は特許を受けることができるとされ、原告の請求が認められ、請求項1及び2に関する審決が取り消された。