審決取消訴訟判決（特許）令和４年（行ケ）第１００８４号「重症心不全の治療方法およびその薬剤」

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原文は裁判所ウェブサイトで公開されていないかもしれません。訴訟番号「R4-10084」を使って J-Platpatで検索すれば原文があるかもしれません。

要約

重症心不全の治療方法およびその薬剤

トルバプタンを用いた心不全患者に対する治療法で、特に重症心不全患者に焦点を当てた投与方法を提案している。

原告の特許権に関する無効審決を取り消すことを求めた訴訟において、特許の進歩性が否定され、原告の主張は棄却された。

原告は2004年に特許を出願し、2011年に特許権が設定されたが、2020年に被告が無効審判を請求。2022年に特許庁が無効審決を下し、原告はその取消しを求めて訴訟を提起した。

特許の進歩性の認定に関する誤りが争点であり、特にトルバプタンの使用が当業者にとって容易に想到できるものであるかどうかが焦点となった。

原告は、トルバプタンが心不全患者において予後改善に顕著な効果を持つと主張し、特に急性心不全患者に対する治療法が従来の治療法と異なる点を強調した。また、トルバプタンの投与が重症心不全患者において特有の効果を示すとし、進歩性があると主張した。

被告は、トルバプタンの使用が当業者にとって容易に想到できる範囲内であり、特許の進歩性が否定されるべきであると主張した。特に、トルバプタンの効果が既存の利尿薬と重なることや、急性心不全と慢性心不全の治療における利尿薬の使用が一般的であることを指摘した。

裁判所は、トルバプタンの使用が当業者にとって容易に想到できるものであり、特許の進歩性が否定されるべきであると判断した。特に、急性心不全患者に対するトルバプタンの効果が明確に示されていないことや、既存の治療法との違いが実質的でないことを理由に、原告の主張を退けた。

特許は無効とされ、原告の主張は認められなかった。