審決取消訴訟判決(特許) 令和2年(行ケ)第10123号
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原文は裁判所ウェブサイトで公開されていないかもしれません。 訴訟番号「R2-10123」を使って J-Platpatで検索すれば原文があるかもしれません。
要約
発明の名称
燃料電池システム
発明の簡単な説明
本発明は、燃料電池スタックの水和レベルを向上させるための制御装置を備えた燃料電池システムであり、空気流動を調整することで再水和を行う方法を提案している。
主文
本件は、特許出願が拒絶されたことに対する不服審判請求が不成立とされた審決の取消訴訟であり、原告の請求が理由ありとされ、審決は取り消された。
経緯
原告は「燃料電池システム」に関する特許出願を行い、特許庁から拒絶査定を受けた後、不服審判を請求した。特許庁は、補正後の請求が適法であると認めたが、審判請求は成り立たないとの審決を下した。原告はこの審決に対して取消訴訟を提起した。
争点
本件の主な争点は、原告の発明と引用発明との相違点に関する進歩性の認定であり、特に「定期的に」空気流動を調整する点と、気体流動の調整対象が空気である点が挙げられた。
原告の主張
原告は、引用発明の認定に誤りがあると主張し、燃料ガス供給停止の目的が水和降下現象の防止ではなく、故障防止であると反論した。また、本願発明は、燃料電池の水和レベルを向上させるために、発電によって生成された水を利用し、空気流動を調整することで再水和を行う方法を提案していると述べた。
被告の主張
被告は、本願の特許請求において整流器の電流の流れる方向を特定していないと主張し、引用発明の電界効果トランジスタが本願発明の整流器に相当すると認定されたことに誤りはないとした。また、引用発明の短絡制御回路は本願発明の制御装置とは異なり、目的が異なるため、両者の内容は異なるとされた。
当裁判所の判断
裁判所は、原告の発明が引用発明に基づき、当業者が容易に発明できたと判断した。特に、燃料電池の出力電圧が低下した際に燃料ガスの供給を停止することが周知であり、定期的な気体流動調整を行うことは容易であると認められた。また、引用発明の目的が水和レベルの減少を抑えることであり、本願発明の再水和が水和レベルを増加させることを強調した。最終的に、相違点に関する本願発明の構成が引用発明に基づいて容易に想到できたとは認められず、審決には誤りがあると判断された。
結論
原告の請求が理由ありとされ、審決は取り消された。