審決取消訴訟判決(特許) 令和2年(行ケ)第10080号

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原文リンク

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要約

発明の名称

5-HT1A受容体サブタイプ作動薬に関する医薬組成物

発明の簡単な説明

本発明は、鬱病や双極性障害の治療に用いる5-HT1A受容体部分作動薬を含む医薬組成物に関するものである。

主文

特許第4178032号に関する訴訟において、原告の特許請求の範囲の一部が無効とされ、特許の実施可能要件およびサポート要件に関する判断が争点となった。

経緯

原告は特許を取得後、特許請求の範囲を訂正したが、被告Meijiが特許の無効審判を請求し、特許庁は一部請求項を無効とした。原告はこの審決の取消しを求め、同時に被告も請求項2の取消しを求めた。

争点

特許の実施可能要件およびサポート要件の適合性、特に双極性障害に対する治療効果の技術常識の有無が争点となった。

原告の主張

原告は、5-HT1A部分作動薬が双極性障害のうつ病エピソードに対して治療効果を持つことが技術常識であると主張し、特許明細書に記載された内容から当業者がその効果を理解できると述べた。また、医薬の有効性が記載要件の判断基準であるとし、副作用は治療効果を否定する理由にはならないと主張した。

被告の主張

被告は、特許明細書に躁病エピソードへの効果が記載されていないため、実施可能要件に適合しないと反論した。また、5-HT1A部分作動薬が抗うつ作用を示さない可能性や、受容体の選択性が抗うつ効果に影響を与えることを指摘し、技術常識の不存在を主張した。

当裁判所の判断

裁判所は、5-HT1A部分作動薬が双極性障害の治療に有効であるという技術常識は存在しないと判断した。特に、抗うつ薬が双極性障害の患者に使用される際、躁病エピソードの誘発リスクがあるため、当業者が本件発明によって双極性障害の治療が可能であると認識できないと結論付けた。また、明細書に記載された薬理学的試験の結果から、当業者が本件化合物を双極性障害に適用できると理解することはできないとされた。

結論

特許発明1、4、5は無効とされ、発明2に関しては無効理由が認められなかった。原告の主張は理由がないとされ、特許の実施可能性が認められた。