審決取消訴訟判決(特許) 令和1年(行ケ)第10092号
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原文は裁判所ウェブサイトで公開されていないかもしれません。 訴訟番号「R1-10092」を使って J-Platpatで検索すれば原文があるかもしれません。
要約
発明の名称
下肢関節手術用牽引手術台
発明の簡単な説明
この発明は、手術対象者の足を安全に固定し、牽引と伸展の操作を一つのグリップで設定できる手術台の構造を持つ。
主文
特許庁の審決を取り消すことを求める原告の請求は棄却される。
経緯
原告は、被告が取得した特許の無効を主張し、特許無効審判を請求したが、特許庁はその請求を不成立とし、特許の訂正を認めた。原告はこの審決の取消しを求めて訴訟を提起した。
争点
特許の新規性、進歩性、訂正の適法性、原告の請求人適格が主な争点となった。
原告の主張
原告は、特許の新規性や進歩性が欠如していると主張し、特に訂正発明が既存の甲49発明と同一または容易に想到できるものであると主張した。また、補正が実質的な訂正であるとし、明確性や実施可能性についても異議を唱えた。
被告の主張
被告は、原告の主張が具体的な証拠に基づいていないと反論し、特許の訂正が誤記の修正に過ぎず、特許法に適合していると主張した。また、原告が特許を受ける権利を持たないことを強調した。
当裁判所の判断
裁判所は、訂正発明が新規性や進歩性を有すると認定し、原告の請求人適格がないと判断した。補正内容は誤記の修正であり、特許請求の範囲を拡張するものではないとされた。また、原告の主張する明確性や実施可能性についても、当業者にとって自明であると認定された。
結論
原告の請求は棄却され、特許庁の審決は支持される。
原審の種類、判示事項
管理人メモ
取消事由2 新規性・進歩性
引用文献の認定の誤りについて
甲49製品は、本件出願前に実施されていた。
H29.12 甲49製品はA構造を有していた。
H30.10以降 B構造を有していた。
裁判所は、A構造、B構造は矛盾する構造であり、甲49製品にA,B構造の両方が生じる理由を合理的に説明できる的確な証拠はないと判断した。
裁判所は、本願出願時(H29.12以前)における甲49発明は、原告が主張する構成を有するとは認めない、本件審決が認定する限度の構成を有すると認定すべき。
→原告の引用発明の認定が誤りだという主張は認められなかった。
本件訂正発明1の新規性・進歩性について
本件訂正発明1と甲49発明は相反する作用効果を有する、阻害要因がある、設計事項でない。
小括
取消事由2は理由がない。
取消事由 冒認出願
裁判所は、本件訂正発明は甲49発明に対して新規性・進歩性があり、甲49発明とは別途の創作を要するものだと判断した。
原告がその創作に関与したと認めるにたりる証拠はないし、本件訂正発明の発明者から特許を受ける権利を承継していない。
小括
取消事由3は理由がない。
取消事由4-1, 4-2 明確性要件・実施可能要件
理由無し。
取消事由5 手続違背
審判請求書については,要旨変更となる補正も審判長の許可等があれば許され(同法131条の2第1項2号,2項),このような要旨変更となる補正を許可するときは,特別の事情があるときを除き,その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し,相当の期間を指定して答弁書を提出する機会を与えなければならない(同法134条2項,131条の2第2項)とされているが,この規定は訂正請求書の補正については準用されていない。しかも,審判請求書の場合でも,要旨変更とならない補正に対して相手方に意見を述べる機会を与えるとすべき規定は見当たらない。
原告は,本件補正について意見を述べる機会が与えられなかったことは重大な手続違反に当たる旨主張する。
平成30年11月21日
特許庁は,同日付の審理結果通知書(甲95;本件訂正請求書による訂正請求を拒絶すべきとの内容)を原告に,同旨の訂正拒絶理由通知書を被告らに対して送付した。
同年12月25日
被告らは,同日付けで,本件手続補正書(甲97),「訂正特許請求の範囲」(甲98)及び意見書(甲96)を提出した。
平成31年1月31日
特許庁は,原告に対し,審理終結通知と共に,本件手続補正書副本及び本件補正に係る意見書副本を送付した。
本件手続補正書による本件訂正請求書の補正は要旨変更には当たらないから,この補正に対して原告に意見を述べさせなかったことを違法とする根拠規定は見当たらない。
本件訂正請求書による訂正請求について意見を述べる機会が与えられていたのであるから,実質的にも手続保障は図られていたといえ,本件補正に対して,原告に改めて意見を述べる機会を与えなければ不意打ちになるなどの手続上の正義に反する事態が生じたと認めることもできない。
小括
取消事由5に理由なし。